2003年度湘南吹奏楽コンクール

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 「可愛く撮って下さい!」

 


 オチャメなことを言う人だぁ。

 この「部活.ネット」ではこれまでかなりの部活を訪問してきたが、撮影の際に顧問自らがそんなことを言ったのを初めて聞きましたぜ。

  しかし、それが現在の西浜高校吹奏楽部をある意味で象徴しているのではないかとも思えた。

 渡辺良子先生は西浜に赴任されて2年目。本職は国語の先生なのであるが、

「吹奏楽の顧問になることが教師になった最大の原因」

 と、自らが語るように、中学生の頃からホルンに魅せられ、生涯ホルンを吹き続けられる環境を求めて先生になってしまったのだった。
(ホルンは私=管理人が最も好きな楽器。渡辺先生曰く「音色に精神状態が出る」ので面白いのだそうだ。)
 
 





顧問の渡辺良子先生
可愛く撮れているでしょうか...?



音楽室の体感温度は摂氏40℃



この日、パーカッションセクションは
専門家である村松氏の指導を受けた



コンクールではホゼイ作曲の新譜
“The Sword against the Sea”
(海に向かう剣)で出撃

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
 
 西浜高校吹奏楽部は2年前まで、数年間は夏のコンクールに出場できない状態であった。また、茅ヶ崎高校や北陵高校のように定期演奏会を単独で行うこともままならず、OBの集まりである「西浜吹奏楽団」の応援を得て、“ジョイントコンサート”という名称で、ようやく演奏の場を確保していたのであった。

 原因は部員の数が足りない、ということに尽きたわけだが、コンクールという大きな目標を失えば、自然と活気もなくなってくるものだ。

 そこに赴任してきたのが渡辺先生であった。前任の藤沢西高校で12年間、吹奏楽の顧問を続け、県大会常連校に育てた実績は情熱に裏打ちされたもので、それは西浜にやって来てからも不変である。

 昨夏はコンクールに久しぶりに出場。また、3月に行われたスプリングコンサートでは、先生の演奏仲間にも友情出演してもらい、20名でステージに上がった。

 今では25名の部員(うち男子3名、1年生だけで12名)が基礎からの指導を受け、力を伸ばしつつ、吹奏楽の楽しさを知り始めた。

 「今の部員数では、一人一人が受け持つ役割が大変ですから、1人ずつ仲間を増やして、B編成をフルで(B編成は35名までの構成となる)出来るようになりたいですね。」

 というのが、現在の目標と語って頂いた。

 今年1月には、鶴嶺高校・第一中学・中島中学・鶴嶺中学と合同の130名によるステージで指揮棒を振り、

 「指揮棒に皆の気持ちが集まるのは快感でした。」

 と、率直かつ明るい!

 OBに対してどう思うか、という質問に印象的な答えが返ってきた。

 「現在はOBたちの協力なしには成立しませんし、教え子たちが、出来るだけ長く吹いて欲しいので、OBたちも出演できるような場を提供してゆきたいと思います。同じ音楽仲間、という意識を大切にしています。」

 とのこと。様々ある部活の中で、おそらく吹奏楽にだけ許された縦軸の連鎖。そして、明るく生徒思いの顧問先生。

 西浜高校吹奏楽部の今後に期待してみよう、という気持ちになっていることを読者諸兄にお伝えする次第だ。



廊下・視聴覚室での自主練習、全体合奏、さらにパート別練習と気合のこもった演奏が続いた

 
 夏の大行事、野球応援とコンクールを控えた7月。西浜高校吹奏楽部は、25人と人数は少ないながら真剣に練習に取り組む。

 「でも、こうなったのはごく近年のこと。」と語るのは、部長でテナーサックスの菊池真里子さん。

 「崩れかけていた部活を建て直し、去年は久しぶりにコンクールに出ることができた。前は練習も各自が勝手にやっていたけど、基礎練から先生がしっかりやってくれるようになり、ひとりひとりの上達も早くなったと思う。」

 少ない人数の中でも、男子は特に少なく、全部で3人しかいない。その貴重な男子部員の一人、トロンボーンの長谷山晴彦さんにハーレム的吹奏楽部の居心地を訊いてみた。

 「最初は女の子ばかりでとまどったけど、慣れました(笑)今は、やるからには三年間続けたいと思っている。いつも次の目標にむけて一生懸命がんばる部活なので、明後日の野球応援がとても楽しみ。」
(ちなみに残る2人の男子部員も彼が誘ったのであった。彼は密かに『男子部員増殖計画』を練っているところだ!)

 その野球応援について、菊池さんは「炎天下の演奏は確かに大変。でも、コンクールとはまた違った楽しさがある。自分たちの演奏で人にやる気を与えることができるから。」と意気込みを見せる。

 最後のコンクールに向けてのやる気も、もちろん充分だ。「とにかく今は、建て直したものがふたたび崩れないようにしたい。その勢いのまま突っ走れれば・・・。」建て直した状態の維持だけでなく、さらなる成長も期待できそうだ。
 


コンクールに出られなかった時代から今に至るまでを語ってくれた部長の菊池真理子さん

男子部員増殖計画の首謀者・1年長谷山晴彦くん。“吹奏楽黄金比”は男子1対女子4だ。頑張れ!

★★★★★運命の楽器選択★★★★★
 今回、取材させてもらって、改めて『どの楽器を担当するかって運命的だよなぁ』と思ったのだった。
 渡辺先生も、中学で吹奏楽部に入った頃はフルートを吹きたかったそうだ。しかし、余剰人員もいて、致し方なくホルンに回ると、何だかとても愛らしく、抱えた感じもよくて、それ以来ホルン一筋(教えるためにひと通りの楽器は練習したそうだが)なのである。
 もし、その時、彼女がフルートパートに入っていたら、当然人生そのものが変わったはずだ。
 と、考えると、「何が何でもこの楽器」と決めつけずに、「たまたま人の足りないパート」をやるのもよいのかも。これはけして“意志が弱い”のではなく、経験の浅いうちは“与えられた環境を愛してみる”ということであり、様々なことに通じると思われる。
 これから吹奏楽をやってみようと思っている人は、そういう「担当楽器の決まり方」もあってよいと、心に留め置いて欲しい。
 

さて、この中でどれほどの部員が
最初に担当したいと思っていた
楽器を手にしているのだろうか

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 「すいませ〜ん。お昼にうどんを食べ過ぎましたぁ。」

 不安定な音出しをして、指導の岡田寛昭さんからある男子部員が注意された際の受け答えだ。

 私(=管理人)は笑いをこらえるのに必死であった。少なくとも、これまでに取材させてもらった北陵高校や茅ヶ崎高校では有り得なかった光景であり、岡田さんも笑っている。

 ...が、しかし、彼ら部員が不真面目であるというわけではないのだ。

 それどころか、7月に行われる吹奏楽のコンクールではB編成による東関東大会出場を目標に

 ネリベル作曲 『交響的断章』

 という難曲に挑んでいるのだ。
(どのくらい難曲であるかということについては、曲名から想像がつきます。よね?ちなみに、吹奏楽のコンクールでは、50名以下で構成されるA編成と、35名以下で構成されるB編成とがあります。)

 現在、部員は31名。うち、男子6名。

 最早、一般的な共学高校の吹奏楽部では当たり前のように感じられる

 男女比1:4

 これはもう「吹奏楽界の黄金比」と呼んで差し支えあるまい。

 ところで、今でこそ部員数も30名の大台を突破し、関東大会が目標、と言えるまでになったが、実は5年前の夏には部員がたったの6人だけしかいなかったのである。

 ロックバンドならいざ知らず、ブラスバンドを編成するにはあまりに心もとない人数である。さすがにコンクールには出場しなかったのかと思いきや

 「いえ、軽音楽など他の部から部員を借り集めて13名で出場したんですよ。」

 とは、合唱部の顧問も兼ねる相川真由美先生のお言葉である。

 当時の部員たちが涙ぐましい努力でコンクール出場にこぎつけてから5年。岡田さんの献身的な指導と、相川先生の懸命なサポートにより、音楽室は活気に溢れるようになった。

 また、昨年から今年に掛けて、吹奏楽経験者が圧倒的多数を占めるようになり、現在の部員で、未経験者は4人だけ。勿論、その子たちもまじめに練習に出ていれば、コンクールにも出場させる、というのが寒川高校吹奏楽部の流儀だ。
(巧い・下手は関係ないそうですぞ)
 
 以前は、中学時代に燃え尽きてしまい、高校では吹奏楽部に入らなかった子が多かったそうで、喜ばしい変化だと言えよう。

 岡田さんは子供たちに指導する際

 「まず、音楽を好きになってもらう。そして、自主的に計画を立て、実行できるようになってもらう。」

 ということを一つの目標とされている。生徒たちを見ていると、変に受身になっておらず、ひとまずの目標は達せられているようだ。

 コンクールまで、あとひと月少々。寒高吹奏楽部の想いを乗せた演奏を聴きに、コンクールにも応援に行きます。

 その日は、演奏前にあまりうどんを食べ過ぎないようにね。 
 




部員を指揮する岡田寛昭さんは大清水高校吹奏楽部出身。寒川高校の指導を始めて5年

合唱部の顧問も兼任される相川真由美先生。取材の際も、たいへん丁寧かつ親切に対応して頂いた


元気いっぱいにインタビューに応じてくれた部長の天野裕貴さん


  
練習は計画性をもって、楽しく、かつ、厳しく行われる。ところで『交響的断章』ってどういう意味ッスか?
  

 私こそが“まゆ”ざんす⇒
Q[特派員まゆ]:寒高ブラバンを一言でいうと?
A[部長天野さん]:若さと情熱、青春、仲がいい!
(全然一言じゃない…)

 吹奏楽部の部室は軽音楽部と同じ階にあり、音の張り合いであまり恵まれた環境とは言えない。それでも、一歩中に入るとそこは若さと情熱の吹奏楽部。

 「仮入部が楽しかったので、この部活に入ろうと決めた。楽器を買っちゃったからでもあったけど(笑)。先輩たちもおもしろくて、部は和気あいあいしてる感じ。」と、1年の柿沢千尋さん。

 部長の天野裕貴さんは、吹奏楽部についてこう語る。

  「やっぱり自分が音楽を好きだということと、それを共有できる仲間ができるから嬉しいし、続けられるんじゃないかな。もちろん辞めていく人もいるけど、将来のために辞めるのだったら、みんなで頑張ってね、と見送る。上下関係もなく、1年生と一緒になって騒いでる感じ(笑)」

 これからの予定としては、「風がすごくて譜面が飛ぶ!人が倒れる!バスで酔ったり、その後一週間くらい具合が悪い人も…」という、ハードな野球部の応援。「今年はホール練と重なって行けないけど…」と残念(?)そうだ。

 そして、3年生は最後となる夏のコンクール。「引退がなるべく先に延びるよう、できれば東関東まで行けるよう、ひたむきに頑張りたい。」と誓ってくれた。
 


“まゆ” の餌食となった1年・柿沢さん。これに懲りず、「部活.ネット」とお付き合い下さい。
 
 

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北陵高校ウィンドアンサンブル訪問記  2003年3月21日
 
 第23回定期演奏会を1週間後に控えた春分の日の朝。我々部活ネット編集部は神奈川県立北陵高校音楽室に、HWE(北陵高校ウィンドアンサンブル)をお訪ねした。

 まず人口密度に驚く。取材前の話では、自由に動いて写真などをどんどん撮って下さい、とのことであったが、1・2年生だけで70名ほどは参加しており、カメラを持って移動できるような状態ではないぞ。

 しかし、これでも3年生(本年の卒業生)は参加しておらず、午後からやって来ると聞くに及び、申し訳ないが、昼までで帰らせてもらうことにした。
(機材が壊れると困るし)
↑逆光を浴びてタクトを振る丸山透先生


 予定通り、午前10時から練習は始まり、顧問の丸山透先生の指揮で着々と進んでゆく。私(管理人)も元「売れない」ミュージシャンであったが、こんな数の演奏者をまとめたことなどなくというか、こんなに客が入ったことすらあまり経験がない!「よく、これだけの生徒をまとめられるもんだ」と感心することしきり。
(ちなみに男女比は1:4。もし私が北陵生なら迷わず入部していたところだ。男子部員諸君、頑張れ!)

 ティンパニーとバスドラムのそばにいたせいか、私の鼓膜が奇妙な倍音を鳴らしつつ、午前の練習は終了。HWEの部室にて丸山先生にインタビューさせてもらうこととなった。

管理人「HWEの特徴って何でしょうか?」

丸山先生学年による上下関係がない、というところですね。先輩・後輩がニックネームで呼び合うよう“敬語禁止令”というのがあって、私も時々生徒の本名を忘れてしまうこともあります。」(オイオイ)

管理人「HWEの運営に於ける哲学のようなものはありますか?」

丸山先生「仲間内ではとにかく自由に演奏してもらいたい。ただ、大庭中学をはじめ、いろいろな中学校とも交流があるので、他の学校の先生たちに“タメ口”をきくようならぶっ飛ばしますけど。それと、演奏会ではわずかであってもお金を頂いているので、『お金をもらって演奏しているんだ』という自覚は常に持たせたいと思っています。」

管理人「先生は部活にも一生懸命ですが、土曜の朝など、3年生の補習授業もなさっていると伺いました。私は学習塾を経営していますが、公教育の先生ではとても珍しい存在だと、以前よりちょっとした関心がありました。なぜ、それほど熱心に指導することができるのか、教えて頂けますか?」

丸山先生「私は土曜を休みにしたのは失敗だと思いますね。今、公立高校のほとんどの先生は朝8時半に学校に来て、授業をやって夕方5時には帰ってしまいます。部活のことも土曜の補習のことも、ある意味で私の挑戦ですね。他の先生が誰もやらなくなったとしても、私だけは一人でも抵抗して、部活も補習も続けたいと思います。」


管理人
「熱いですね、先生。ちなみに年齢はお幾つですか?」


丸山先生「42歳です。」


管理人「(しばし感動して....)私と一緒ですね(涙)。お互い頑張りましょう。本番の時もまた取材させて頂きます。これからも是非、部活ネットにご協力下さい。」

丸山先生「喜んで。」


 .....こうして42歳同士は熱く握手をして(写真・上)、別れることとなりました。公教育にもまだこれだけ熱い先生がいることを認識して、少し安心もしました。でも、こんな先生ばかりだと学習塾は潰れますぜ。

 本番の3月29日、文化会館大ホールにて、またお会いしましょう。

 末筆ながら、北陵高校ウィンドアンサンブルの皆さん、素晴らしい演奏活動を続けていって下さることを祈念致します。


定期演奏会前、必死に練習に励むウィンドアンサンブルの部員諸君。部室が殺伐としてるところがリアルだ!

Hokuryo Wind Ensemble 23rd Annual Concert 
2003年3月29日 13:30開場 14:00開演 at 茅ヶ崎市民文化会館大ホール
入場料:¥300 長谷川楽器南口本店にて発売中 お問合せ0467-85-1725
☆演奏予定曲
 ◎アルメニアンダンス パートT(リード)  ◎吹奏楽のためのラプソディア(足立正)
 ◎ウェストハイランドを旅して(シェルドン)  ◎ディヴァージョンズ(スパーク) 他

2002−03年度HWE主な活動記録

湘南吹奏楽連盟主催
 ◇第3回湘南吹奏楽コンクール
   高等学校A部門 金賞  高等学校B部門 金賞
 ◇第3回湘南アンサンブルコンテスト
   ダブルリード五重奏 金賞  サクソフォン四重奏 金賞
   クラリネット六重奏 金賞

神奈川県吹奏楽連盟主催
 ◇第51回神奈川県吹奏楽コンクール 
   高等学校B部門 銀賞
 ◇第26回神奈川県アンサンブルコンテスト
   ダブルリード五重奏 銀賞  クラリネット六重奏 銀賞
 ◇第4回秋季選抜吹奏楽大会
  会長賞・技術賞
 

 ◇第8回日本管楽合奏コンテスト審査会
  高等学校B部門 優秀賞
 ◇安藤為次教育記念財団記念賞
  奨励賞

               =演奏会=
 8月 サマーナイトジャズ 茅ヶ崎市民文化会館小ホール
 9月 アンサンブルの夕べ  茅ヶ崎市民文化会館大ホール
10月 秋の合同コンサート 大庭中学校
 ※藤沢市立大庭中・御所見中、茅ヶ崎市立北陽中、湘南学園中学・高校との合同演奏
 1月 第24回湘南吹奏楽の集い
 ※藤沢市立高倉中学と合同演奏
 3月 第23回定期演奏会 茅ヶ崎市民文化会館大ホール
HWE第23回定期演奏会本番風景アップ致しました
第23回定期演奏会 ←をクリックして下さい [2003年4月1日アップ]
HWE大岡祭演奏風景ならびに新部長・先生へのインタビュー アップ致しました
大岡越前祭での野外演奏 ←をクリックして下さい [2003年5月8日アップ]

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茅ヶ崎高校吹奏楽部訪問記  2003年3月26日

↑栄光を物語る楯・トロフィ
 
 2003年3月26日、第26回定期演奏会の練習に取り組む茅ヶ崎高校吹奏楽部へお邪魔してきました。以下、そのレポートです。

 いやぁ〜、顧問の神沢先生にお招き頂き、最初音楽室に入った時、いきなり

 「失礼しましたっ!」

 という勇ましい声が聞こえたもんだから、「確か、今日は吹奏楽部の取材だったよなぁ」と自問してしまいましたぜ。




 勿論、生徒たちが我々スタッフに“失礼な”ことをしたわけではない。演奏曲をより理解し、作曲者の意図にそぐわない演奏をしないように、指導の伊藤寛隆さんから注意があると、彼らはどうやら自発的にその言葉を口にするようだ。

 とにかく気合が入っている。それだけは間違いない。
(演奏技術はヘボい、ということではありませんので、誤解のなきよう)

 茅ヶ崎高校吹奏楽部は伝統的にプロの演奏家の指導を受け、コンクールでも常に上位入賞している、というのが風聞であったが、噂に違わぬ厳しい練習風景であった。しかし、そのコンセプトはどうやら少し違うようだ。

 午前の練習終了後、伊藤宏寛隆さんにインタビューした際、やや意外な(?)返答があった。


管理人「茅ヶ崎高校はプロの指導を受けている、というのが一つの“ウリ”のようですが、伊藤さんもその一人、ということなんでしょうか。」

伊藤さん「まあ、そういう見方もできますが、実は私は茅高OBで、この吹奏楽部も多くのOBが協力して成り立っている、ということなんですよ。で、そのOBがたまたまプロの演奏家(伊藤さんはクラリネット奏者)である、というのが正しい表現になるかと思います。」

 なるほどね。

管理人「いつから指導されているのですか。」

伊藤さん「私は昭和60年3月にこの学校を卒業して、その4月からですね。だから、“アマチュア”と呼ばれる時代からずっと17年間続けていることになります。」


 
茅高OBでもある指揮の伊藤寛隆さん

管理人「週に何度か指導においでになるわけですか。」

伊藤さん「いえいえ。私も自分の仕事もありますから、実際には定期演奏会の直前の春休みや、コンクールの直前の数週間だけなんです。つまり、生徒たちが自主的に普段の練習をしていてくれないと、どうしようもないんですね。ただ、私は人に聞かれると、必ず『趣味は吹奏楽』と答えるようにしているんです。仕事だと思って、高校生の指導をしているわけではなく、あくまで趣味ですね。だからこそ、生徒たちのことをわかってあげたいと思っているし、たぶんわかっていると思うんですが。(生徒たちの方を振り返りつつ、反応を確かめていました)

管理人「吹奏楽をやる上で、最も大切にしていることを教えて頂けますか。」

伊藤さん「ひとことで言うのは難しいですが、皆で一つのものを作り上げること。音楽には“感動”がつきものですから、その感動を伝えられるように。ということです。」

写真は左から増田さん・伊藤コンダクター・石川さん・佐藤くんです。けして遠近法を用いているわけではありません。念の為。
 茅高吹奏楽部の生徒たちが、なぜあれほど真摯に音楽に取り組んでいるか、という一端が垣間見えた気がします。

 伊藤さんの身振り手振りの指導は、私(管理人)にもひじょうにわかりやすく、また、適切なものでした。まだ、定演まで3週間以上ありますが、部員たちの技術的な仕上がりも、順調に思えました。

 さて、今度は部員の代表にもインタビューしてみました。今回の生贄は

◇部長・佐藤亮太くん(赤羽根中出身・クラリネット)
◇副部長・増田あきさん(浜須賀中出身・パーカッション)
◇副部長・石川祐美さん(鶴嶺中出身・フルート)




 の面々です。「実名でいいの?」という質問には、あっさり「いいです」との返事があったので、実名を掲載しますね。


管理人「では、部長の佐藤くんに聞きます。部長として何に一番苦労しますか。」

佐藤くん「演奏曲とかがなかなか決まらない。っていうか、僕の意見はたいてい通りません。

増田さん正しい意見なら通りますよ。

佐藤くんそ、そうだね...。それに、部員たちがやりたい曲を演奏するのは、僕も嬉しいんで...。
(明らかに、押されている。頑張れ、サトー!)

管理人「現在の部員数とかはどうですか。」

佐藤くん「全部で40名ほどです。男子は女子の半分くらいです。」

管理人「ほぉ。それでも北陵なんか1:4だから、まだ男子が多い方だね。適切な人数かな?」

石川さん「でも、もっと部員は欲しいです。」

佐藤くん「うん。新1年生には最低でも30人は入って欲しい。」

増田さん「25人くらいがいいんじゃないの?」

石川さん「28人くらいがいいよ。」
(彼らは私の存在を無視して会話を始めています....。意見は統一しておきましょう)

管理人「厳しい部活だけど、勉強との両立はどう?」

佐藤くん「ええぇと、頑張りたいと思ってます。頑張ってます。」

増田さん「部活をやることで却って勉強もやる気になりますよ。指定校推薦を狙えるよう頑張りたいと思います。」

石川さん「両立は可能だと思います。」

 部長の佐藤くんは心優しい少年であり、他の部員から慕われていることを窺わせるインタビューとなりました。皆、ひじょうに素直な子でありました。元気よく答えてくれて、ありがとうございました。

 他の部員の皆さんも、定演で力いっぱいの演奏ができるよう、頑張って下さい。勉強も少しは頑張っておきませうね。

 OBたちの強力なサポート、生徒たちの自主性、そしてそれを優しく見守る顧問の先生。4月19日の定演の成功は間違いありませんね。


練習は運動部さながらである。部長のたっての希望もあり、部室の撮影は勘弁してあげました。

茅ヶ崎高校第26回定期演奏会
2003年4月19 日 16:30開場 17:00開演 at 茅ヶ崎市民文化会館大ホール 入場無料
指揮:伊藤寛隆  ゲスト:中村薫(フルート独奏)
☆演奏予定曲
 ◎メキシコの祭り(リード) ◎テムズ川紀行(ヘス) ◎喜歌劇メリーウィドウセレクション(レハール) 他

2002−03年度 茅ヶ崎高校吹奏楽部 主な活動記録
 4月 入学式祝賀演奏 第25回定期演奏会
 7月 野球応援
     湘南吹奏楽コンクール A編成金賞<県大会出場>
                    B編成金賞
 8月 第51回神奈川県吹奏楽コンクール
     A編成金賞<4年連続東関東大会出場>
 9月 第8回東関東吹奏楽コンクール A編成銅賞
     文化祭
10月 茅ヶ崎小学校創立百十年記念事業にて演奏
11月 茅ヶ崎市立緑が浜小学校文化祭出演
     湘南地区アンサンブルコンテスト
     クラリネット四重奏 金賞<県大会出場>
     金管八重奏 金賞 打楽器五重奏 銀賞
12月 茅ヶ崎市立鶴嶺小学校クリスマス
     コンサート出演
     神奈川県アンサンブルコンテスト
     クラリネット四重奏 銀賞
 1月 湘南吹奏楽の集いに参加
     (茅ヶ崎市立鶴が台中学校と合同バンド)
 3月 卒業記念演奏
茅ヶ崎高校吹奏楽部第26回定期演奏会 直前取材・本番風景アップしました
第26回定期演奏会 ←をクリックして下さい [2003年4月24日アップ]