編集後記 ◇茅ヶ崎高校(4/30) ◇北陵高校(3/24) ◇寒川高校(3/19) ◇西浜高校(2/11)

今年もやります!定演特集
 
 吹奏楽の定期演奏会が始まる頃になると、「春」の到来を感じます。

 「部活.ネット」では、今年で4回目となる茅ヶ崎近隣の高校の吹奏楽部定期演奏会特集を組むこととなりました。コンクールとは違った味わいで、毎年楽しみにしているイベントですので、出来る限り演奏も聴いて、皆さんにお伝えしたいと考えています。

 トップページでお伝えした通り、実は管理人の本業である学習塾が、この度他塾と統合し、新たに「栄進予備校」として再出発することとなったため、「部活.ネット」の存続もいっとき危ぶまれましたが、どうにか続けることが出来そうです。新たな気持ちで頑張りますので、温かく見守って下さいませ。
 
2006年2月12日 管理人・河本啓伸
 

定演特集アップを終えて
 
■06.05.05up
 
 正直言って、今年ほどアップ作業が遅れまくったことはありませんでした。しかも、鶴嶺高校・藤沢西高校の定演には行くことすら出来ず、お誘い頂いた方には申し訳なさいっぱいです。

 原因は明らかに本業の激烈化にあり、さすがにこのサイト運営の方をより優先させることが難しかったことはご理解頂きたいと願う次第です。

 ようやく少し落ち着いたとはいえ、これからもタイトなスケジュールは続くと予想され、夏のコンクールの取材とか大丈夫なのかと既に心配しています...。

 ま、そのことはさておき、既に5月の声を聞き、いろいろな情報が管理人のもとにも入ってきました。どうやら、少子化による入学定員減にも関わらず、各校吹奏楽部にはたくさんの新入部員が押し寄せているとのこと、まことに喜ばしく思っています。茅ヶ崎の地から素敵な音楽が発信されることを祈ります。

 ところで、一つ素朴な疑問があるのですが、どなたかお応え頂けるとありがたいです。

 それは

 なぜ客席から見て右側にコントラバスをはじめとする低音部がいて、真ん中は管楽器で、左側にメロディ楽器(という言い方すら怪しいけど)という配置になっているのですか?

 というもので、思い出してみると、これまで聴いたコンクール・演奏会の大半はその配置になっていました。ティンパニーなどが一番うしろにあるのはまだ理解できる気がするわけですが、その他の配置というのは特に決まりがあるわけではないですよね?

 これは指揮者がその方が振りやすいとか、右側に低音があった方が心地よいとかいう統計があるものでしょうか。

 あの〜、別にそういう配置だから困る、というわけではありませんよ。ただ、なぜ皆そうなのかと。これこそ文字通りステレオタイプなのでは、と感じた次第です。

 ...もしかしたら愚問なのかも....(汗)

 では、今年度も吹奏楽関係の皆さん、素敵な音楽をよろしくお願いしますね。ついでに「部活.ネット」もよろしくお願いします。
2006年5月5日 「部活.ネット」管理人・河本啓伸

■06.05.05up

プログラム
 
T部

フラッシング ・ウインズ(J・ヴァン・デル・ロースト)
ヨークシャー・バラード(J・バーンズ)
エルサレム讃歌 〜アルメニア復活祭の讃歌による変奏曲〜(A・リード)

U部

星条旗よ永遠なれ
サザンオールスターズメドレー
バックトゥザフューチャー
ディープパープルメドレー

V部

Arioso and presto(J・バーンズ)
交響詩 ローマの祭(O・レスピーギ)

こってり...茅高風
 
 茅ヶ崎高校吹奏楽部定演。それは北陵高校の定演と対極にあると言える。

 何しろ盛りだくさんである。徹底してエンターテインメントである。

 良し悪しを言っているのではなく、「色」の違いが明確であり、面白いと言いたいわけだ。北陵は徹底して音楽以外の要素を排除した緊張感あるステージを、茅高は音楽以外の要素をふんだんに取り入れ、「聴く」だけでなく「見る」ことにも力点を置いたステージを作り上げている。

 北陵が「哲学的・禁欲的」、茅高が「快楽主義的」と言えば、言い過ぎだろうか...。

 また、北陵がほぼ現役生だけで編成されている(今年は3名のOG打楽器奏者が加わっていたが)の対して、茅高はOB・OGを積極的に起用した編成であり、両校の定演を聴きに行った人は、そのコントラストだけでもかなり楽しかったことだろう。

 茅ヶ崎地区に於けるライバル校どうしが、それぞれの手法で、それぞれの音楽を奏で続けることが、中学生たちの選択肢をも増やしてくれているので、是非、今後ともよきライバルでいてもらいたいと願う。

  
開場前、長蛇の列が出来ていた。観客数でも茅高と北陵はいい勝負だったように思えた。
  
  
  
第二部の照明の使い方もよく練られている。司会の大串一武さんのギャグも、時流をちゃんと意識したネタの仕込から気合が入っている。今回の第二部は管理人が見たこれまでの4回の中では出色のデキだったのではなかろうか。

プログラムにも“茅高魂”を感じさせる
 
 どの学校でも、定演のプログラムには何らかの想いを込めていることであろう。茅高ではそれが音楽的部分とそれ以外の部分に分散されていて、会場に足を運んだ者にとっては、ひじょうにわかりやすく出来ている。

 勿論、「伝統」というものもあるのだろうが、その年・その年で在校している生徒は変わるわけで、少しずつ変化を加えながら、今のスタイルにたどり着いたものと思われる。

 通常の定演なら、第一部と第三部だけで完結してもよいのかもしれないが、そこに「学生指揮」「ダンス」「軽妙なMC」「照明効果」といった素材を入れ込むことが茅高風であり、時間的長さを感じさせないテイストに仕上がっている。

 特に今回は第二部の演出が自己満足という領域からは出ていて、しかも音楽的にも楽しめるものだった、ということを是非伝えたいと思う。

 また、第一部「エルサレム讃歌」で舞台袖から登場した金管楽器群も、音楽的効果のみならず、視覚的効果やワクワク感といったものも醸し出しており、すっかり茅高定演の隠し味となっている。

 勿論、そういった様々な要素というのは、音楽力が備わっていないと、ただのオチャラケになってしまうところなので、演奏がしっかりしていて初めて評価される点である。彼らはそのことも十分に理解した上やっているということが、少なくとも管理人には感じられた。

 そして最後に「ローマの祭」の演奏について少しだけ書かせて頂く。

 感動した。

 素人でも、ちょっと聴けば難度の高い曲であることは明白であり、一曲の中で様々な聴かせどころのある曲であることも理解できた。「50年祭」ではダイナミックレンジの大きさから壮大な感じを与え、しかも細かなフレーズでのシンクロ性の高さは只事ではなかった。最後の「主題祭」では、スロー且つ音数・音量ともに少ない場面での安定感が秀逸であった。

 と、こうやって言葉で書くことがもどかしいほど素晴らしかった。定演の〆としても実によい選曲だったのではなかろうか。

 昨年は、メインの指揮者が、20年以上の長きに亘り指導されてきた伊藤寛隆さんから、その教え子である内川裕子さんに替わって初めての定演だったこともあり、実は見ている方にも緊張感があったが、今年はいい意味での「慣れ」があり、そのバランスがうまく取れていたため、客席側にも楽しもうという余裕があった。

 今後、内川さんがもっと自らの色を出すことにより、茅高サウンドがさらなる高みへと到達することを祈念したい。夏のコンクールも楽しみにしてますね。

OBにインタビュー
 
 トランペットの渡部義彰さんは平成7年度卒業生。茅高吹奏楽部を大きな家族のようなものと考えているそうだ。

Q:今日もステージに上がって演奏されましたが、高校生たちと一緒に練習する機会というのはかなりあるものでしょうか?
A:いやぁ、実はそれほど頻繁には出来ないですね。

Q:去年は観客席から、今年は舞台袖からも吹いていましたが、合わせるのは大変では?
A:そうですね。そこはもう「経験」で何とかしています。今日の最後の曲も、本当ならもっと一緒に合奏練習をしたいところですが、時間的な制約もあって、それも何とか曲を覚えこむことで何とかしています。やはりOB楽団でいろいろな演奏会に出ていることが役に立っていると思います。

Q:では5月5日のOB楽団の定演も頑張って下さいね。
 

 司会でお馴染みの大串一武さんは平成5年度の卒業生。司会のみならず、当「部活.ネット」へのご連絡もしばしば頂いており、広報担当という肩書きも差し上げたいところです。

Q:お疲れ様でした。ネタはかなり入念に?
A:いやぁ、基本的なものは作りますが、現役生がよく連絡をくれますので、そこで問題がなかったら、そのまま行くという感じですね。

Q:ギャグも相当勉強されていますね。
A:お笑い番組が好きだというだけで...(笑)
 
Q:さて、今回の演奏はいかがでしたか?
A:勿論、完全はないでしょうが、ハートで熱い音楽になったとは思います。

Q:指揮の内川さんは、まだまだ満足できないと仰っていましたが。
A:指揮者は要求するものですからね。逆に満足してもらっては困ると言うか...

Q:その内川さんの指揮で、OB楽団も定演ですが。
A:年上の人が多いとはいえ、現役生と同じく、彼女の言うことをよく聞いてやっています。彼女も思ったことは言ってくれますので。今日の演奏を聴いてくれた人たちが、OBはどんな音楽をやるのだろうと興味を持って聴いてくれると嬉しいです。茅高の色は出ていると思われたいですね。

Q:では、そちらも期待しています。また、ご連絡下さいね。
 

2度目の定演。落ち着いた指揮者は「この夏、熱くなりますよ」宣言!
 
 指揮の内川裕子さんは平成15年度卒業生。この春から大学4年生という若さで茅高吹奏楽部を率いる新進気鋭の指揮者である。

 管理人は、いつか機会があれば、茅高の指揮を執ることのプレッシャーについてお尋ねしようと思っていたが、いよいよそれが叶う日が来た。

Q:お疲れ様でした。今日のデキはいかがでしたか?
A:ん〜、辛口で言えば「もっとイケる」というところでしょうか。

Q:偉大なる前任者・伊藤寛隆さんから指揮を引き継いだ重み、というのはいかがですか?今年は去年よりもかなり落ち着いて見えましたが。
A:そうですか?それは嬉しいです。プレッシャーは勿論ありましたよ。凹んだりもしましたし。でも、OBの方たちに「出来るからお前に任せたんだ」と言ってもらったりして、そうか、私は出来るんだ、と考えてやるようにしました。

Q:やはり、いろいろと気持ちが揺れたりしたわけですね。
A:そうですね。今はようやくそれを乗り越えて、やれるようになりました。

Q:本職はクラリネット奏者ですが、指揮をやることで相乗効果のようなものはありますか?
A:オケ全体のスコアが読める、というのが最大のメリットではないでしょうか。周りが見えて、音楽性が豊かになるのは間違いないと思います。

Q:今日の選曲については、部員との話し合いで決められたのですか?
A:「ローマの祭」については、私がやりたいな、と。それに生徒たちもやりたいということで。

Q:では、今年度の目標をお聞かせ下さい。
A:コンクールでは是非関東大会までは行きたいですね。部員たちには、練習中、私に伝えられることは伝えて、それが最後、音になって返ってくるようにしたいです。今年の夏は熱くなりますよ。

Q:ありがとうございました。コンクールも楽しみにしています。

 どうやら、北陵の丸山透先生と内川さんは、こっそり関東大会出場を誓い合ったとか...。両校とも頑張ってもらいたいものです。「部活.ネット」はコンクールの際もお邪魔させて頂く予定ですので、よろしくお願いします。
 


■06.05.04up

プログラム
 
プレステージ アンサンブル

第一部

センチュリオン(フィリップ・スパーク)
詩的間奏曲(ジェイムズ・バーンズ)
吹奏楽のための第一組曲(グスタヴ・ホルスト)

第二部

古代の聖歌と祝典の踊り(デヴィッド・ホルジンガー)
序曲ハ調(シュルル・シモン・カテル)
「シチリア島の夕べの祈り」(ジュゼッペ・ヴェルディ)

第二章への疾駆と原点回帰
 
 昨年、第25回という節目をひじょうに完成度の高い演奏で締めたHWE定演。今回はゲストプレーヤーを呼ばず、これまでHWEが培ってきた“内なるエネルギー”を爆発させることを第一義としたような演奏であった。

 これまでも、あらゆる贅肉を断ち切って、音楽性による「勝負」を挑み続けてきたHWEであるが、今年はいっそうそれが際立つプログラムであり、目指す方向性を暗示するものでもあった。

 それは、陸上競技のトラックに喩えるなら「第2コーナー」であり、いよいよスピードに乗っていながらも、常に音楽の原点を忘れずにいようという意識の表れなのかもしれない。毎年、多数訪れる聴衆たちも、HWEのそうしたマグマの咆哮に期待して来場しているに違いあるまい。

 顧問である丸山透先生(通称・とおるちゃん)が、今回の定演に寄せた文章中に朝比奈隆氏「ベートーベンの誕生日」からの引用が掲載されている。

 「近代の文明の反映は音楽の技術や知識の上にも大きな進歩をもたらした。楽器の性能は著しく高くなり、演奏力も格段の進歩を遂げ、演奏者の『表現の多様と可能性』は際限なく伸びていくように見えた。そこに作品の尊厳とそれへの忠誠を見失う誘惑が生まれた。私たちは今人間の精神の不滅なることを、その作品によって啓示してくれた人の大いなる祝祭の日に、改めて頭をたれて自らの高慢を恥じなければなるまい。」

 そう。まさに、音楽への敬意であり、作曲者の意図をそのまま素直に表現できるよう、勉強を積み重ねてゆこうという意志が今回の演奏に込められていたわけだ。

 旧校舎が取り壊され、北陵高校自体も新たなスタートを切ることとなった2006年。HWEのさらなる疾駆に大いなる期待をしたいと思う。

  
  
  
詰め掛けた聴衆の数だけ期待感がある。HWE定演はその聴衆とも勝負していると言えよう。

印象的だった「本気で叱る」という言葉
 
 昨年の定演を「絵画的」だと言わせてもらったが、今年は「動画的」だという印象がある。それはおそらく、第一部の「詩的間奏曲」と第二部の「古代の聖歌と祝典の踊り」という2曲から、管理人が想起したイメージだ。

 絵が止まっているか動いているか、というのは聴いた時の心境にもよるので、あまり重要なことではないのだろうが、聴く人がそういう意識を持てるように演奏するのはかなり難儀なことであろう。HWEは、透ちゃんに加え、この定演に土屋吉弘(達人ファミリーの一員)という新たな指揮者を迎え、それを具現化させた。

 第一部の「詩的間奏曲」は、木管楽器があたかも弦楽器のような鳴りになっていて、映画のエンディングに向かうシーンを想起させる仕上がりであった。どうやら、この曲は「ホルンの恋の物語」なのだそうだが、とにかく管理人の脳内では「街角を走り抜けてゆく」画像が猛烈なスピードで音楽と同期していた。

 第二部の「古代の聖歌と祝典の踊り」は、指揮を執った土屋さんの音楽性・特徴を遺憾なく発揮した曲であろう。

 まず、とにかく力強い。そして、めちゃめちゃキレがよい。

 シンクロ性は、打楽器奏者で、日頃からHWEを指導している土屋さんだからこそ、というべき超絶レベルにあった。おかげで、管理人は「何者かに追いかけられる」ような気持ちでこの曲を聴いた。

 この曲を演奏しただけで、打楽器の子たちは生涯に残る思い出が出来たのでは?と感じさせられるものだった。

 また、いつもながら、ダイナミックレンジの広さ・低音のしっかり感・ステージからのステレオ効果といった、HWEの演奏を支える前提もそこかしこに散りばめられており、「来てよかった!」と思わせるに十分な演奏だった。

 そして、最後に丸山透先生の言葉は教育に携わるあらゆる者が耳を傾けるべきものであった。

 「私は音楽の専門教育は受けておりせん。したがって、これらの楽器のどれ一つとして生徒に指導することは出来ません。しかし、それでも私は生徒たちを本気で叱ることは出来ます。」
(要約)

 本気で叱る、というのはたいそう疲れるものである。それは真剣に対峙するからであり、そういう人と出会ったことがあるかないか、というのは、のちの人生に大きな影響をもたらすものでもある。

 HWEの部員諸君は、ちょっぴり幸せだ。

丸山透先生にインタビュー
 


 演奏終了後、丸山先生のお話を伺った。

Q:今日の選曲のポイントは?
A:一つは新分野にも挑戦しようと。それがホルジンガーの「古代の聖歌と祝典の踊り」 だったわけですが。

Q:デキはいかがでしたか?
A:やった演奏が全てですから、よかったのだと思います。

Q:今回の定演、ならびに今後のHWEの方向性を聞かせて下さい。
A:プログラムに書いた通りですが、作曲者が望んだ演奏をそのままに再現できるようなバンドでありたいですね。音楽の原点に立ち返る、と言うか。勿論、それ実現するためには、勉強が必要ですが。

 と、ここで、昨年・一昨年とゲストプレーヤーとしてHWE定演に参加されたアレクセイ・トカレフさん(通称・トカちゃん。トランペッター)がやおら登場。
 
 透ちゃんとトカちゃんは熱く握手をしたのだが、トカちゃんには何やら企みがありそうな....

 ここから先は、透ちゃんによる実況中継となります。


※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
 終演後、アレクセイ・トカレフさんにお目にかかりました。お忙しい中わざわざ聴きに来て下さったんですね。感激でした。

ト「本当に素晴らしかったです。北陵は毎年どんどん上手くなります。一緒に演りたかったです。」
マ「ありがとうございます。またいつかご一緒出来るといいですね。」

 ふと見ると、トカレフさんの手にスコア(指揮者用の楽譜)が...。

ト「この曲、ハイドンのトランペットコンチェルト(協奏曲)。すごく良い曲。ちょっと難しい。でも北陵なら大丈夫。」
マ「はい...(えーっと、あのぅ、ひょっとして...)?」
ト「私、来年の演奏会で北陵とこの曲演ります(キッパリ)!」
マ「はい...(ぅわっ、一方的に断言されてしまった)。」

 私にとっては「元レニングラード交響楽団首席奏者」などという肩書きはどうでもいいことです。大らかで優しくて、間違いなく日本人以上に繊細で誠実な、かけがえのない素晴らしい友人に引き合わせてくれた大好きな音楽に、あらためて感謝しています。
 
〜HWE定期演奏会の鉄則 その4〜
 「客寄せ」のゲストは呼ばない。但し、先方からわざわざオファーのあった場合はこの限りではない。
 
 第27回定期演奏会のプログラム、一曲決定です。
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 というわけで、管理人も一年ぶりにトカちゃんに会えて嬉しかったです。来年も既に楽しみになってきましたね。

 ちなみに、「HWE定演の鉄則」につきましての詳細はこちらをどうぞ。



■06.05.03up


プログラム
T部

1.ラザロの復活(樽屋雅徳 作曲)
2.エアーズ(田嶋勉 作曲)
3.エル・カミーノ・レアル(A.リード 作曲)

U部

1.エンターテイナー(S.ジョフリン 作曲)
2.千と千尋の神隠し(木村 弓 作曲)
3.交響組曲「ハリーポッター」(J.ウィリアムズ 作曲)

V部

1.アルヴァマー序曲(J.バーンズ 作曲)
2.「交響曲第3番」より V. メスト ナタリー(J.バーンズ作曲)

紆余曲折の一年...独裁的“空間支配”を目指して
 
 管理人が寒川吹奏楽部を取材して丸3年。03年には部史上初のコンクール県大会出場(B部門)、04年はコンクールB部門湘南地区トップ通過、05年はついにA部門へのステップアップ、と傍目には順風満帆に映った。

 しかし、A部門での初出場は銀賞に終り、指揮者の岡田寛昭さんは大きな壁を感じた様子であった。県・関東・全国大会とコンクールを聴いて回り、技術指導も根底から見つめ直し、今まで築き上げたものを一旦壊そうとしているように管理人には感じられた。

 成長痛

 と言えばよいのだろうか。

 年齢を経れば、人間、保守的になってゆくものである。岡田さんは若いとはいえ、寒川高校で指導を始めてから9年の歳月が経過している。指導法を変えるのはさぞかし勇気も必要だったろう。

 管理人も彼の苦悩を理解しようと努めつつ(実際には理解できるはずもないのだが...)真剣に聴かせてもらった。

 今回は選曲も難度の高いものがあり、それだけでも彼らの意欲は伝わってきた。

 「空間支配」という発想がどこから出てきたものか、興味深かったので、演奏後尋ねてみると

 「いやぁ、イナバウアーです。あれを見る以前から思っていましたが、あれを見てから、やはり“音による独裁的空間支配”を目指すべきだと...」

 勿論、トリノオリンピックで金メダルを獲ったフィギュアスケートの荒川静香選手の技のことである。フィギュアには伴奏もついており、音楽関係者も当然注目はしているのであろうが、音楽とスポーツはかなり深い関係にあるようだ。
(ちなみに、管理人もあの場面をナマで見ていたが、「空間支配」しようという発想は生まれませんでした...)

 この指揮者が本気で指導する寒川吹奏楽部は楽しみな存在であり、ますますの期待感を抱かせてくれる。

  
  

特に感動した『エル・カミーノ・レアル』
 
 今年は会場リハの時間を取ることが出来なかったそうだが、始まってみると、音量バランス・音の鳴りともに素晴らしいものであった。これは日頃からの意識や経験則によるところも大きいのであろう。

 第一部最初の「ラザロの復活」は、始まりからゾクゾク感に溢れており、パーカッションも出過ぎず、絶妙のバランスだった。
(管理人のメモには「乳首が立つような感覚」と書いてあります....ちょっと下品ですね)

 管理人は、自ら吹奏楽器を奏でる技術は全くないが、客席で高校生の演奏を聴く、ということにかけてはなかなかだと自負している。しかし、これでも「デキが今イチだった」というから、相当高いレベルを求めていることになる。

 さすが「空間支配」をだてに口にしていないわけである。

 で、第一部最終曲「エル・カミーノ・レアル」は完成度がとても高かった(あくまで管理人主観による)。

 個人的に「静から動」が大好きであるが、ダイナミックレンジも広く、木管にキレがあり、打楽器と管楽器による盛り上がりは、速いフレーズでのシンクロ性も高く、実に素晴らしかった。ステージを凝視していると、フルートとパーカッションがアイコンタクトしながら演奏しているのが見えた。人間が演奏しているのを強く感じさせる場面で、全プログラム中、管理人が最も感動を覚えた曲となった。

 第二部は誰もが知っている曲を、そして第三部は難曲を取り上げていたが、それぞれ臆することなく演奏しているため、しっかりと音が聴こえる。寒川高校吹奏楽部の音楽性が豊かになった証として、たいへん印象に残るものであった。

 ことに、最終曲「メスト ナタリー」はスロー且つ音数の少ない場面が多く、相当難しい曲であったが、『究極の感情表現』と謳うだけのことはあり、曲の予想外の終わり方も心に余韻を残すものだった。

 アンコールの「翼をください」は、昨年に続き、感涙モノであったことを加えておこう。

 さて、この寒川定演であるが、管理人がちょっぴり悔しかったことを書いておきたい。それは、お客さんが少ない、ということである。もっともっとお客が入ってもよい力量だと確信する次第である。

 「部活.ネット」も微力ながら、これからも寒川吹奏楽部を応援してゆく所存なので、岡田さん・部員の皆さん、是非頑張って下さいね。

指揮者・岡田寛昭さんにインタビュー 「全国レベルを目指します!」
 
 演奏終了後、撤収作業が続く中での、ちょっと慌しいインタビューではありました。それでも意欲が十分に伝わる内容で、今後を期待させてくれます。

Q:プログラムにも「空間支配」ということが謳われていましたが、その発想はどこから?
A:昨年のコンクールで銀賞に終り、指導法から何から全てを見直そうと思って、県大会・関東大会・全国大会を全て聴きました。そこから、全国レベルの音は「異次元的・芸術的」で、衝撃を受けました。そこに「イナバウアー」を見て、もう「空間支配」しかないな、と。
 
Q:今日はそういった側面から、デキとしてはどうでしたか?
A:上出来だったとは思いますが、第一部では満足出来ないところもありました。もっと緻密でブレのない演奏をしたいとは思います。

Q:昨年のようなコラボレーションはありませんでしたが...
A:まあ、会場リハが取れなかったということもありますが、「音だけの勝負」をしたところもありました。それもやはり、「空間支配」のために、ということですが。

Q:2006年度の方向性をお聞かせ下さい。
A:今年はおそらくB部門でコンクールに出ると思います。そこで、再度「空間支配」のための技術を身につけたいですね。元気な1年生が多いので、頑張れると思います。彼らも泣きながら練習しています。

Q:最後に、今年卒業する部員たちに対してメッセージをお願いします。
A:県大会に連れて行けなかったことは申し訳なく思っています。そして、自分が彼らに育てられたという感謝の気持ちもあります。ありがとう、と言いたいですね。

Q:ありがとうございました。これからも頑張って下さいね。

 いつも生徒のことを一番に考えている姿勢は素晴らしいと思います。寒川高校吹奏楽部が今年、旋風を巻き起こす予感がします。これからも応援させてもらいますね。

■06.02.12up


インフルエンザに負けず...!
 
 管理人が何を最も心配していたかと言えば、部員たちがインフルエンザに罹ってはいないか、という1点であった。何しろ、一昨年もこの時期に演奏会があり、その際は部員が次々にインフルエンザに倒れ、練習段階ではなかなか全員が揃わなかったという前歴があるからだ。

 しかし、そこは“無茶目”渡邊良子先生の気合と予防接種で、今回は乗り切ったそうな。まずは、めでたしめでたし。
 
  
開演前の音出し。最も緊張する時間かも...?

心に残る言葉 『港でありたい』
 
 「部活.ネット」が吹奏楽の取材を始めた頃(3年ほど前)、正直言って、西浜高校吹奏楽部は混沌とした時期であった。部員数そのものも少なかったが、その中で練習に出て来ない生徒もいて、部活として成立するかどうか、という微妙な状態であったのだ。

 そこから、顧問の渡邊良子先生が現3年生の担任となり、その学年から徐々に部員を増殖。そして、昨夏のコンクールで、ついにB編成(35人)がフルになり、金賞を獲るまでに至った。

 コンクールに出ることさえ叶わない時期もあったわけで、まさしくゼロからのスタートであった。まずは部員を集め、技術的なことを指導し、音量・音質を上げて、今日の西浜ブラスがある。

 そのことを知る管理人にとって、彼らの成長ぶりは頼もしく、また、若さの持つ可能性にも感動を覚える。

 今回の演奏会の中で、良子先生から生徒へのメッセージとして「卒業しても、長く楽器を続けて欲しい。またいつか一緒にステージに乗ろう。西浜ブラスはあなたたちの港でありたい」という言葉があった。

 言葉というのは、いつ・誰が・どういう状況で放ったかによって、当然受け止め方は変わってくるが、少なくとも管理人には、良子先生の言葉に真実が感じられた。

 「港でありたい」

 大いなる包容力を感じさせる言葉であり、生徒たちも幸せである。

 新入生(前期テスト合格者)にも吹奏楽部出身者が多いと聞く。西浜ブラスの今後にさらに期待しようと思う。

  
  
「萎縮しなくなったなぁ」というのが管理人の感想です。特に、ソロを取った子や、コントラバス・パーカッションの子たちはノリが大変よく、楽しく演奏しているように見えました。ま、本人は緊張していたのかもしれませんが...

部長さんにインタビュー
 
 部長はトロンボーン担当の高島梨奈さん(2年)。現在トロンボーンが一人だけなので、新1年生に期待している、とのことです。

Q:今日のデキはどうでした?
A:楽しく出来たのがよかったです。

Q:部長ということで、皆を引っ張っていく立場ですが、辛いことはありますか?
A:1級上の先輩たちがかなり力のある人たちだったので、技術的に厳しいことはありますが、皆、ついてきてくれるので、困ったり辛いといったことはありません。
 
Q:西浜の吹奏楽部をひとことで言うと?
A:お互い支え合っている部活、だと思います。

Q:演奏する上で気をつけていることは何ですか?
A:「息を吹き込む」ということですね。ただ音を鳴らすだけでなく、しっかりした音を出すには、しっかりした息を楽器に吹き込まなければならない、と先生にも教わっています。

Q:最後に、今年の目標を聞かせて下さい。
A:新入部員を数だけでなく、パートのバランスも考えて集められたら、というのが第一目標ですね。コンクールでは、去年のダメ金(注・金賞でも県大会に行けない)に満足せず、県大会で西浜の演奏を聴いてもらいたいです。

 どうもありがとうございました。中学時代に管理人の英語の授業を受けていた高島部長。その後、英語嫌いになっていなければよいのですが...

良子二世?登場
 
 いつも笑顔で応えてくれる良子先生。本日は「将来吹奏楽をやりたい」という次男くんを引き連れての撮影でした。 ちなみに、長男くんは野球選手になりたいそうです。

Q:今日の演奏はいかがでしたか?
A:インフルエンザにも勝ちましたし(笑)、練習よりもよかったですね。

Q:西浜に赴任されて4年。今年の部の雰囲気はいかがですか?
A:1年生のノリがよくて、とても頑張っていますね。練習も、以前なら私より早く帰ってしまう生徒もいましたが、今は私の方が「そろそろ帰ろうよ」と言うくらいにやっています。生徒たちがかわいいと思うようになりましたよ。

Q:さて、お決まりの「コンクール」の目標を聞かせて下さい。
A:目標は高く、金賞、そして県大会出場ですね。できれば前任校の藤沢西と一緒に出られれば、というのが願いです。

 期待していますね。ちなみに、良子先生は藤沢西の新倉先生、鶴嶺の堀内先生とは高校(北陵)吹奏楽部の先輩・後輩にあたるそうです。ん〜、世の中狭いかも...。

野球部と吹奏楽部の関係について考える
 
 文化会館の入口で、西浜高校野球部の面々と遭遇。マネージャーや部長先生を含め、全員で聴きに来たとのこと。

 実は、以前にも藤沢西高校で同じようなことがあり(野球部の子たちは坊主頭なので、一見してわかったりする)、 それが偶然なのか、何か法則性があるのか、と考えてみた。

 で、考えているうちに、西浜野球部の部長・堀先生を会場でお見掛けしたので、「なぜ全部員を連れて演奏会に?」と訊いてみた次第である。

 「去年の夏に応援してもらいましたし、今年も気持ちよく応援してもらうためです」

 とのことであった。

 なるほどね。確かに、夏の野球にブラス応援は欠かせません。ん〜、そういうことか。

 今年の各校定演では、野球部が来るかどうか、チェックしてみようと思います。いずれにしても、野球部の人たちは、吹奏楽部の人たちに感謝しないとね。ま、持ちつ持たれつ、というところですなぁ。

お疲れさまです。気さくに話し掛けてくれてありがとう。これからも楽しく演奏して下さいね。