2011.08.03up
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奇蹟的な邂逅 |
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“長蛇の列”という言葉の意味が不意にわかる盛況だった | |
正直言うと、コンクールに来るのは難しいかも、と思っていた管理人であった。 何しろ、本業の夏期講習もあって、毎年自分でも自分のスケジュールがよくわからないこの季節ではあるが、今年は一気にいろいろなことが6月以降我が身に降りかかり、2003年から続けてきたコンクール連続参加記録(?)も途切れる寸前であった。 今年は本業もいろいろと新境地を開拓しつつあり、どうしても限られた時間でたくさんの授業をやっている現状なので、特にA部門が行われた7月26日は年に一度あるかないかの超危険日であった。 本当にもう少しで気持ちが折れそうであったが、会場に足を運べて、実はそれだけでちょっと感動もしていた。 結局、新設のJ部門に始まり、A・Bも全て聴かせてもらった。 しかし、これまでならコンクールの翌朝には速報をアップするというのが通例であったが、体力が持たず(ただの「歳」かもしれませんが)今日まで引っ張ってしまった次第だ。 さらに、写真も極端に少ないのだが、何とか勘弁して下さい。 昨年までの茅ヶ崎市民文化会館(現在、改修中)とは会場のつくりが違うため、音の鳴りも明らかに違っていた。 ま、これはどのチームも同じ条件なので審査には関係ないのかもしれないが... ひとまず、結果と感想のレポートを致します。 関係者の皆さん、お疲れ様でした。 県大会出場の方々は、是非、悔いなき演奏を! |
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A部門[7/26]:管理人のフィーリングと審査に若干差が... |
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管理人は誰に頼まれているわけでもないが、毎年コンクールの独自採点というのを敢行している。 勿論、プロの審査員の出す結果と同じになることは滅多になく、今年もちょっと外れていたところもある。 <審査結果> 1.日大藤沢『銀賞』 課題曲T.マーチ「ライヴリーアヴェニュー」(堀田庸元・作曲) 自由曲 科戸の鵠巣〜吹奏楽のための祝宴序曲〜(中橋愛生・作曲) 2.慶應義塾湘南藤沢『銅賞』 課題曲W.南風のマーチ(渡口公康・作曲) 自由曲 マードックからの最後の手紙(樽屋雅徳・作曲) 3.湘南『金賞』(県大会出場) 課題曲X.「薔薇戦争」より 戦場にて(山口哲人・作曲) 自由曲 交響詩「ローマの祭り」より T.チルチェンセス W.主頭祭(レスピーギ・作曲) 4.茅ヶ崎北陵『金賞』(県大会出場) 課題曲T.マーチ「ライヴリーアヴェニュー」(堀田庸元・作曲) 自由曲 ノーブル・エレメント(T.マー・作曲) 5.茅ヶ崎高校『金賞』(県大会出場) 課題曲T.マーチ「ライヴリーアヴェニュー」(堀田庸元・作曲) 自由曲 バンソリック・ラプソディー(高昌師・作曲) 6.藤沢西『銀賞』 課題曲U.天国の島(佐藤博昭・作曲) 自由曲 悪魔の踊り(ヘルメスベルガーU世・作曲) とりあえず、管理人は素人でも感覚的にわかる「どきどき感」だけを点数化しているため、プロの審査員と差が出るのは当然のなりゆきではあるが、取材メモの得点を見ると 1位:湘南 2位:北陵・藤沢西・茅ヶ崎が同点 5位:日大藤沢... となってはいるが、1位湘南と2位の3校、2位の3校と5位の日大藤沢との差はそれぞれ20点満点で0.5しかない。 つまり、管理人の感覚では5校が金賞で、県大会は微差で決まるような心づもりであった。 審査発表の際、ダメ金と称される「金賞だけど県大会には行けない」という学校がある時の阿鼻叫喚は、最大の盛り上がりを感じさせ、そこにはドラマもあるので、ちょっとわくわくもしていたことを告白する。 ところが、金賞は3校だけだったので、県大会もすんなりと決まったという次第であった。 自らの耳にいよいよ焼きが回ったかと、ちょっと複雑な心境にもなりました...。 県大会に出場される皆さんの健闘を祈ります。 |
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2年連続の東関東大会を狙う湘南 |
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管理人と湘南の指揮者・小澤篤の音楽的趣味は近いのかもしれないと、近頃密かに考えるようになった。 (但し、レベルは全く違うけど...) というのも、今年も課題曲は冒険心に富んだX(「薔薇戦争」より 戦場にて)であり、自由曲も現代音楽の要素をふんだんに盛り込んだ楽曲で、湘南地区の段階では、もしかすると精度はやや欠いているのかもしれないが、「それが聴きたかったんだよ」と言いたくなるものなのだ。 相変わらずサービス精神に溢れているなぁ、と。 昨夏は県大会を通過し、部史上初の東関東大会への出場を果たした湘南。 今年も何かやってくれそうな予感だ。 |
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A部門 各バンドへの感想とエール |
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◇日大藤沢 自由曲が管理人のストライクゾーン。 冒頭からの大音量や、現代音楽風で個々の楽器の独立性が保たれていることに感心。 県大会候補に名乗りを上げたという感があった。 但し、湘南高校と色調が近い印象なので、それがどう影響するかは未知数...。 ◇慶應藤沢 ややこぢんまりして、音が前に伝わりきらないもどかしさはあったが、きれいに奏でようという気持ちが随所に出ている演奏だった。 バスドラムを起点とする箇所に力を感じた。 ◇湘南 課題曲の選曲だけで、既に管理人を舞い上がらせるとはタダモノではない。 ダイナミックレンジの広さ、メリハリ、シンクロ性、音の広がりといった要素は「小澤な感じ」であり、おそらくはまだ潜在能力があるのだろうが、十分に感動させてもらった。 自由曲の最後のリフレインでは鳥肌が立った。 また、演奏後の立ち姿が誇らしげであるのもとてもよかった。 ◇北陵 課題曲はしっかりコントロールしている印象で、細かなところに気配りしているのが伺える。 自由曲では音量の出し入れがあっても、基礎がしっかりしているので、危うさを感じさせることもなく、ひじょうに安定している演奏であった。 ちなみに、茅ヶ崎市民文化会館とは違い、音が前方に届きづらいらしく、北陵ではホルンをいつもより高めの位置に入れて、音を飛ばそうという試みをしていたそうな(部員情報)。 さすが、指揮の新倉徹也先生は藤沢西高校時代に藤沢市民会館を定演で長らく使っていただけありますね。 にしても、1月の「藤沢西との合同コンサート」、5月の「5校吹奏楽演奏会」(定演の代替行事)を経て、成長の跡が存分に伺える演奏で、本当に素晴らしかった。 ◇茅ヶ崎 定演を聴いた時にも感じたが、とにかく誠実・堅実な演奏で、低音部も1つ1つの音を丁寧に出そうとしている印象。 自由曲では出だしの大音量を、課題曲が終わったあとすぐに出すという演出(?)もあり、わくわく度が高まる。 (時間を計ったわけではないが、課題曲終了後、自由曲の演奏を始めるまでの速さは茅高が一番だったのでは?) また、木管アンサンブルのような至福の時間もあり、とても楽しませてくれた。 以前に較べ、男子部員がやや少なくなる中、新生茅高の輪郭がかなり明確になってきたように感じた。 ◇藤沢西 課題曲ではダイナミクス・安定感・シンクロ性のいずれも高レベルで制御されていた印象だ。 エンディングに向けての圧巻の音量は特筆すべきものがあった。 自由曲では管楽器なのに絃のような響きが感じられ、管理人の好きな演奏になっていた。 また、盛り上がり感も相当あり、短い音符を次々に繋いでゆくことで、徐々に大きなうねりになってゆくイメージで、ある意味“煽情的”とさえ言えよう。 結果は銀賞だったが、管理人としては間違いなく金賞という位置づけである。 |
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J部門[7/26] |
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どうやら、今年から1校でA・B両部門にエントリーすることが出来なくなった模様で、湘南地区では独自にこのJ部門(ジュニア、という意味と聞いています)を設定したとのこと。 出場は日大藤沢・北陵の2校であった。 日大藤沢が「実行委員長賞」、北陵が「理事長賞」となったが、客席側でも「えっ、実行委員長賞?どういうこと?」といった反応もあったので、出来ませば、ちょっとその経緯を説明して頂けるとよかったかと。 部員がたくさんいる学校はこういう部門があることで励みになるなら、今後も続けていけるとよいかもしれませんね。 他の地区でも正式なプログラムとはしていないものの、やはりAに乗れない子たちのモチベーションを保つという意味で、趣向を凝らしていろいろと新部門を設けているとのこと。 来年はまた何か違うスタンスもあり得るかも、ということでしょうか... |
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B部門[7/28]:順当な結果か |
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この日もスケジュールは詰まりまくっており、開場時間ぎりぎりに到着し、審査発表を聞いた直後、会場をあとにするという慌ただしさであった。 A部門とは違い、B部門については管理人と審査員の見解がほぼ合致するものであった。 (一部、違いはあるものの、県大会出場校は同じ、という意味です) |
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<審査結果> |
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B部門 各バンドへの感想とエール |
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◇藤沢総合 曲調及びダイナミクスの変わる場面で、その1点に集中しようという緊張感あるいい演奏であった。 途中、ブレイクが決まり、声が奏でる場面では鳥肌が立った。 柔らかさを十分に発揮した後半部もとてもよかった。 金賞でもよかったのでは?と感じた。 ◇鶴嶺 ドラマティックな仕掛けのある楽曲で、ピアノを含めた7人(だったと記憶している)の打楽群が全体の核となって引っ張る場面は秀逸であった。 強弱・シンクロ性・音の流れのスムーズさは県大会出場に手を掛けた、という印象だった。 ◇アレセイア湘南 編成人数が少ないため、どうしても音量の劇的変化を表現するのは難しかったと思われた。 だが、強くはないが、優しい吹き出しと1つにまとまろうとする気持ちが前面に出る演奏で、特にテーマが繰り返される間の演奏に於いて、管楽器なのにアコーディオン風に聴こえる音が不思議な気持ちにさせてくれた。 あれって、意図的なものなのかなぁ...。 だとしたら、ある意味、一番すごい演奏だったかも。 ◇湘南学園 管理人が名前を知らない打楽器がたくさん登場し、それだけでわくわく度の高い演奏だった。 鳥の声(?)を出すちっちゃな笛も個人的にはとても楽しませてもらった。 場面転換にドラマを感じさせる演奏で、管理人の評価はとても高く、金賞に近い位置にあるかと思われた。 『銅賞』はやや酷にも思えるが、これからも頑張って欲しいバンドだった。 ◇西浜 どのパートも1つめの音をしっかり、きちんと出そうとする意図が感じられた。 弱奏部でやや不安があったものの、ダイナミックレンジが広く、全体構成への解釈・理解度が高いことを伺わせる好印象の演奏だった。 伸び代のあるバンドとして今後への期待が大きい。 ◇寒川 ゴング(?)を客席側から見て右に配置してあり、既にその時点でオリジナリティを感じた。 音が瞬間切れたと思われたあとで、実は連続して次から次へと地の底から湧き上がる、心を揺さぶられる演奏で、徐々に煽られてゆく仕掛け。 金管群が細かなフレーズを丹念に吹いているのは感動ものであり、最後のブレイクに至る助走からの疾走は圧巻だった。 指揮の岡田さんの指先の表情はやはり進化しているように思える... |
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県大会へ出場する鶴嶺・寒川両校の健闘を祈ります。 |
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管理人の感想 |
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偶然だとは思えないことがありました。 それは、東日本大震災の影響で定期演奏会を延期せざるを得ず、5月1日と5日の2日間に亘って『茅ヶ崎・寒川5校吹奏楽演奏会』(うち1校は寒川中学)と銘打って、今回の会場となった藤沢市民会館で合同の演奏会を開催した4つの高校が全て県大会出場を果たしたのです。 A部門の北陵と茅ヶ崎、B部門の鶴嶺と寒川。 彼らは懸命に今春巣立つ生徒のことも思い、演奏機会とホールを用意しました。 それが藤沢市民会館であり、図らずも、合同演奏会がコンクールでの音出しに対するリハーサルともなっていたのかと想像します。 (実際は全然違うのかもしれませんが...) 今年のコンクールは震災があった年という特別さに加え、会場も茅ヶ崎ではなく藤沢だったということで、準備する関係者の皆さんもさぞ大変だったのではとお察し致します。 日常の生活があってこその部活だということを3月11日以降、しばしば考えていたのですが、実は近頃はあまりそう考えなくなっている自分を認識することもあり、それがいいことなのかどうか、少し悩んでいます。 実際に被災地に立ってみると、「ここに日常は戻ってくるのか?」と、胸が詰まります。 ですが、被災を免れた者は、彼の地の人たちのことを心に抱きながら、頑張れるところでは頑張って生きたいものです。 審査結果の如何を問わず、音楽を奏でる人たちは、とにかく続けて下さい。 いつか、どこかで、音楽が性別や国籍や時代といったものを超越して、誰かと何かを結べる手だてになるかもしれません。 昨年50歳になり、今までやったことのない吹奏楽器をやってみたいなぁ、と密かに思うようになりました。 ピアニカ、ハーモニカ、アルトリコーダー、オカリナ、水笛すらもまともに演奏出来た試しがないのですが。 できれば、脳の血管に負担の少ないものを、と考えています。 (トランペットはヤバそうな感じがします) どなたか、よいものをご紹介下さい。 ちなみに、楽譜はものすごくゆっくり、1音ずつなら読むことができますぞ。 ...ふと、こんな人に演奏の感想やらを書かれても説得力がないなぁ、と思いましたが、どんなもんでしょうか。 それでも来年もコンクールには行きたいと望んでいます。 会場で会ったら、邪険にしないでね。 では、改めて県大会出場の皆さんの健闘を祈ります。 |
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