高校B部門 ◆高校A部門[7/26up]
 

B部門 お待たせしました“茅ヶ崎高校DNA”の爆発! そして感動の清流・寒川
 
2017.07.28up
 
B部門は最大30名による編成。

A部門とは違い、「えっ」と思うくらい少人数で出場するチームもいて、独特の雰囲気があり、管理人はしばしばB部門の演奏で涙腺が緩む。

今年も感動で胸がいっぱいになった。

演奏順に、感じたことを述べさせて頂く。
(人数は目視によるものなので、違っていたらゴメンなさい)

 

【藤沢西】金賞
◆レトレ・ル・ネオン 〜サルトルとボーヴォワール 哲学と愛、そして新しい愛のかたち〜 天野正道
30人 男子1 コントラバス1 テューバ2 打楽器4

この2年、県大会はもちろん東関東大会にまで進出している藤沢西。
湘南地区の他校はこの藤沢西に追いつけ追い越せで練習を積んできたはずで、逆に言えば、藤沢西にはプレッシャーもあったろう。
さて、今年選んだのは、タイトルの「哲学と愛」からは想像しづらいジャジーな楽曲で、これが「新しい愛のかたち」なのかと思わせるもの。
静かな出だしはその後のアンニュイかつ扇情的な展開へのプロローグだったのか。
テクニカルな演奏はしっかりした解釈力をうかがわせるもので、残念ながら県大会出場は逸したが、そのチャレンジ精神には敬意を払いたい。

【湘南学園】金賞
◆喜歌劇「小鳥売り」セレクション ツェラー 編曲:鈴木英史
30人 男子3 コントラバス1 テューバ2 打楽器4

ひと言で言えば「誠実」であろうか。
大河に日が昇るような絵を想起させてくれる演奏で、藤沢西に較べるとダイナミクスにやや物足りなさも感じたが、その中でのグラデーションはきめ細かく、メリハリがあって、管楽器が優しく頭を撫でるような印象だった。
もしかすると、これまで聴かせてもらった湘南学園の演奏では最もよかったかも。

【アレセイア湘南】失格(タイムオーバー)
◆百年祭 福島弘和
24人 男子1 コントラバス0 テューバ1 打楽器4

結果発表の際、8チーム出場なのにどうして7チームしか並んでいないのか不思議だったが、どうやらタイムオーバー(規定時間を超える反則)だったようだ。
演奏した高校生たちは一生懸命だったに違いないので、落胆するなと言うのは酷だろうが、人生ではそうした理不尽もしばしばあると思って受け止め、今後に生かして欲しいな。
フルートとクラリネットの掛け合いや優しいタッチの金管など、“らしさ”もたくさんあった。
絶対、来年も出てね。

【藤沢清流】銀賞
◆キャッツ・テイルズより グレイアム
13人 男子0 コントラバス1 テューバ2 打楽器2

管理人が感じ取れたコンセプトは「そこに在る力を余すところなく」であった。
「ボレロ」を思わせるスネア・ティンパニーとトランペットのソロに始まり、サックスや鉄琴、ドラムのソロもあり、参加者が皆でアクセントをつけようという意志が垣間見られた。
個人的にはコントラバスの子の懸命さが印象的で、まさに泣けるような演奏であった。
人数は少なくても、こんな演奏が出来るというのを教えてもらった気がする。

【西浜】銅賞
◆雫 〜ウィンドアンサンブルのための〜 天野正道
16人 男子5 コントラバス0 テューバ1 打楽器3

中盤の木管(フルートとクラリネット?)の掛け合いから、打楽器・金管が入って盛り上がる辺りはとてもよかった。
16人中男子5人というのもなかなか有望に思える。
もっと思い切って演奏出来るようになると、きっともっといい音が出るね。
来年、成長した君たちの演奏をまた聴けるのを楽しみにしているよ。

【茅ヶ崎】金賞[県大会出場]
◆いつも風 巡り会う空 福島和弘
21人 男子0 コントラバス0 テューバ0 打楽器2

茅ヶ崎高校の演奏を聴きながら「あぁ茅高DNAだよなぁ...」と感心していた。
メリハリがある上、安定感・シンクロ性も高い。
21人ということからか、コントラバスとテューバを欠く編成であるにも関わらず、細部もしっかりしていてドラマチックな音楽を表現していた。
ダイナミクスも「強⇒弱⇒強⇒弱」と変幻自在、泣ける要素がふんだんに取り込まれた演奏は本日最も王道を行くものであった。
近年やや元気のなかった茅ヶ崎高校のこの復活ぶりは管理人も嬉しい限りである。
小津まゆみさんという指揮者にも興味が湧いた。
県大会出場おめでとう!

【寒川】銀賞
◆管楽アンサンブルのためのアポクリファ 清水大輔
12人 男子2 全員打楽器・全員管楽器的編成

コンクールで写真撮影を禁じているのはわからんでもないが、この寒川高校の演奏は写真に収めて、是非多くの人に見てもらいたいなぁと思った。
とにかく、口で説明するには複雑すぎる打楽器配置で、管理人が名前を知らないものも多数並べられている。
しかも、それがただ並んでいるのではなく、それぞれの役割を担って、出番を待っているというのだ。
この楽曲が寒川高校のような編成を念頭に入れて作られたのかどうかはもちろん不明であるが、難解とも言える曲を実にスキルフルに演奏したと言えよう。
この演奏を、その場にいて聴いた人にはその鮮烈さを共有出来るであろうが、もっと多くの人に聴いてもらいたいと思った。
そういう意味でも、寒川が県大会に出場できまいかと今も思う。
素敵な演奏をありがとう。

【慶応湘南藤沢】金賞[県大会出場]
◆仮面幻想 大栗 裕
30人 男子5 コントラバス0 テューバ2 打楽器4

一昨年はB部門で県大会出場、昨年はA部門で銅賞と激しい展開の慶応であるが、今年は王道とも言える楽曲で、再度県大会出場権を手にした。
シンバルと木管だけの緊迫感ある出だしからしばらく弱奏が続くのを堪えて堪えて、聴く者の心理をじらし、こっそり未知の世界を覗くような描写で、本日最も絵を想起させる力のある演奏だった。
それだけに、貯めておいた力を一気に吐き出す唐突なラストが際立つ。
力ある演奏だった。

 

 
2015,2016年藤沢西高校が東関東大会へと風穴を開けたのに続き、茅ヶ崎・慶応も県大会での精度を上げた演奏をしてきてもらいたいなぁ。

A部門の湘南・北陵ともども、湘南地区の音楽のレベルの高さを是非示してきて下さい。

期待していますね。
 
 


少数激戦のA部門。湘南と北陵が県大会へ
 
2017.07.26up
 
2010年には7校、2011年以降は学校の入れ替わりはあったものの昨年までは6校の参加が続いてきたA部門だが、今年は湘南・藤沢総合・鶴嶺・北陵の4チームのみの出場。

このうち2チームが県大会へと進むことになるが、出場する4チームは近年県大会出場を懸けてしのぎを削っているだけに、激戦必至であろうと見ていた。

参考までに2010年以降の県大会出場チームを列挙しておくと
2010年 湘南、茅ヶ崎、藤沢西
2011年 湘南、北陵、茅ヶ崎
2012年 北陵、日大藤沢、湘南
2013年 鶴嶺、湘南
2014年 鶴嶺、湘南
2015年 藤沢総合、湘南
2016年 湘南、藤沢総合

 ※学校名は当該年の出場順

こうやって書くと改めてわかることだが、湘南地区からの県大会出場校は「湘南とどこか」という図式が長きに亘って続いている。

2011年・12年が北陵、13年・14年が鶴嶺、15年・16年が藤沢総合と2年単位での変遷となっている。

また、北陵は2010年・14年・15年・16年と金賞を獲得しながら県大会へは出場できない、通称「ダメ金」を4度経験している。

今年は例年よりも多くの3年生が引退せずに残り、何としても県大会へ、という熱気に満ちているという噂は耳にもしていた...。

さて、実際の演奏が始まると、その至福の時間はあっと言う間に過ぎていった。

各校の演奏について、個人的感想を述べさせて頂く。
(演奏順。各人数については目視によるので間違っていたらゴメンなさい)
 

 

【湘南】金賞[県大会出場] 54人 コントラバス2 テューバ3 打楽器6 男子16
課題曲:X メタモルフォーゼ 〜吹奏楽のための〜 川合清裕
自由曲:吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」より 高 昌帥

課題曲は例年通りXを選択しているが、例年よりはやや大人しめに聴こえた。
(楽曲の構成ゆえのことかもしれないが)
とは言いつつも、規律があり、シンクロ性の高い演奏は聴く者の心を掴んで放さない。
ダイナミクスの出し入れ、場面転換での思い切りのよさも追随を許さない力強さで、緊迫感のある絵を想起させる。
素晴らしい演奏だった。

 
【藤沢総合】銀賞 46人 コントラバス1 テューバ3 打楽器7 男子12
課題曲:W マーチ「春風の通り道」 西山知宏
自由曲:中国の不思議な役人 バルトーク

ワクワク感という意味では最もあったのがこの藤沢総合だった。
弾むような感じで、音圧も十分。
そこかしこに冒険心が溢れる楽曲はこのバンドにとても適しているという印象だったが、もしかすると、そのせいで強く吹きすぎたのかもしれない。
残念ながら、今年は県大会出場はならなかったが、毎年素敵なチャレンジを聴かせてくれる学校で、管理人はとても好きだ。

 
【鶴嶺】銀賞 52人 コントラバス1 テューバ3 打楽器5 男子6
課題曲:T スケルツァンド 江原大介
自由曲:地獄の踊り T,U,W,X ピクール

軽走感に満ちた課題曲と、管楽器・打楽器とも思い切りのよさが目立ち、背筋がゾクゾクするような自由曲。
そのコントラストは鮮やかで、それを際立たせるための選曲なのかと思うほどである。
自由曲は「地獄の踊り」というタイトルに相応しく、底に流れる低音がおどろおどろしさを醸し出す。
監視する者の目を盗んで、脱走を試みようとする無実の主人公の葛藤といった趣で聴かせてもらった。
上下黒のユニフォームもそれを促すインパクトがあり、本日のビジュアル大賞に値する。

 
【北陵】金賞[県大会出場] 54人 コントラバス2 テューバ3 打楽器5 男子6
課題曲:T スケルツァンド 江原大介
自由曲:宇宙の音楽 スパーク

同じ課題曲ではあるが、鶴嶺の軽やかさに較べて重厚感があり、1つ1つの音粒を大きな流れにするような印象であった。
自由曲はウィンドマシーンとホルンの印象的な出だしとその後の圧倒的な音量はその時点で心を掴まれてしまう。
今年の定演でも演奏された曲で、部員たちの理解度も深まっていることもあってか、ビッグバンと呼ばれる冒頭部の音圧はさすがと言うべきものだった。
弱奏部もひじょうにしっかり演奏されていて、聴いていて泣きそうだった。
感動的演奏だったと言いたい。

 


湘南と北陵の金賞・県大会出場は順当であったように思われます。

2校の皆さんには県大会出場が最終目標ではなく、さらに上のステージを目指して、より精度を上げていってもらいたいと願います。

残念ながら銀賞となった藤沢総合と鶴嶺の皆さん、素晴らしい演奏だったと思います。

今後とも各校切磋琢磨して、湘南地区のレベルを引き上げていって下さい。

また、関係者の皆さん、本当にお疲れ様です。
裏方の皆さんの力があってこそのコンクールですね。

27日にはB部門に出掛けたいと思います。